おっさん語録/いいさ〜/「美」術と言うものは存在するのだろうか。
2004 おっさん原山 text by naohisa Harayama
目次
波板トタン
ぼくは、たんなるたんなる「オッサン」です。
今まで延々と「オッサン」の小説みたいなものを書いていたのですが、
1回読んだだけでつまらなくなってしまった。
というより気がついたら
「オッサン」
は少し前のこと。
今じゃ「ジーサン」になっていた。
それで今までのやつは全て白紙に戻す決意をして、
Tさん(マウンテンバイクのプロ)と草深い町の郊外の、
波板トタン屋根の物置のような、やや傾きかげんの工房へお邪魔。
オーナーのKTさんは、オリンピック選手(サイクリング競技)のメカニックを担当する現役、
この工房がサポートするプロレーサーもここから数人は輩出しているという、
全くといって知られてないけれど、高度な技術屋さんのご主人そのお方がていねいに、
数分後にはぼくの愛車になるロードレーサーをするどい眼差しで、というより凄腕のメカニックの目を光らせて調整されていたのです。
が、
かかる真摯なKTさん以外のぼくらは、ただ意味もなく馬鹿笑いをしているだけ。
それにしても雑草の生い茂る郊外のこの工房、マウンテンバイクを磨いていた20代の若い男も入れれば、
総勢四人の男の頭のなかは、
青い空の高みへ、気分みたいのをすこーんと抜いちゃう夏、早くこないかなぁ。
だったかもしれない。